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下記文章は「住宅学習会」のテキストとして作成しました。
住まいづくりの費用と題してコストの面から住宅やその周辺の様々なことについて、
感じたり、考えたりしたことを私なりにまとめたものです。
住まいとコストとの関係を知るに当たり、まずそのコストがいつ発生するかによって分けてみます。
住まいづくりの費用はその発生する時期により
建てる前 建てる時、又は、建てた直後 建てた後   に分けられる

各々で発生するコストは、以下のようになります。

建てる前
・土地取得資金 仮りに2000万円とします
・不動産手数料 ≒70万円(×3%+6万円+消費税)
・登記費用 ≒24万円(登録免許税+司法書士報酬)
・不動産取得税 etc. ≒21万円(但し取得後3年以内に建築した場合、規模により無税)
建てる時 又は 建てた直後
・建設費用
仮りに2000万円とします
・建築設計料
様々ですが、一般に工事費の10%〜15%位
・祭事・申請等費用
≒15万円(地鎮祭・上棟式・確認申請・完了検査申請)
・登記(表示・所有権保存)費用
≒15万円(表示・所有権保存登記+司法書士報酬)
・保険(火災・地震等)
 
・不動産取得税 etc. ≒30万円(但し取得後3年以内に建築した場合、規模により無税)
建てた後
・固定資産税・都市計画税
評価額により課税
・メンテナンス費用  
この中で住まいづくりの中心になり、最も費用がかかる項目について少し詳しく説明します。
建築費用:
建築にかかる費用は基本的に見積書(見積内訳書)の中に網羅されています。
見積書は一般に下図の様な構成になりますが、必ずしもこの形式に基づき実際の見積書が提出されるかわかりません。しかし、見積金額の比較・調整また変更時の精算を行う上でもこの小内訳まで入った見積書が必要になりますので、必ず施工業者に提出を求めて下さい。
- をクリックし詳細をご確認ください。
見積書の内容は慣れていないとなかなか分かりにくいものですが、内容に目を通し不明な点は施工業者又は設計者に問合わせて下さい。特に注意すべき点は、単位が個や台ではなく一式となっている場合で、内容について詳しく問い合わせるべきです。又、出精値引は性格上その内訳が不明な点が多いので、工事費が増減したときの取扱いについて協議しておく必要があります。
■ 建設費用の支払い 
支払は、建設会社にとって、資材や人員を調達する為必要な資金になります。
支払が後になれば資金的に余裕のない会社は金利を支払って借りることになり、支払条件によっては見積金額に影響する場合もあります。
また支払条件と時期は住宅ローン等により様々な形になります。
これらの条件を明示した上で建設会社に見積ってもらうことがルールです。
一般に支払時期と条件は下記のようになります。
契約時又は着工時:
見積・調整により合意した金額の一部支払う。
但しこれは前払金になるので少額(10%以下)とするか、保証人を立てたり、
又は着手金を支払わない契約をすることも可能。
上棟時:
木造の棟上時、鉄骨造・RC造の屋根が出来た時、構造体部分の完成と今後の各種仕上の発注の為に
総額の30%〜40%を支払う。
完成時:
建物完成時に残額全てか、残額から下記金額を引いた金額を支払う。
完成後(1〜2ヶ月以内):
完成時の検査では見えなかった不具合が入居後発見されることもあります。またそのことでトラブルになることもあります。
10%以下位の金額を入居後1〜2ヶ月以内に支払うことにすれば安心でしょう。
■ 設計料 
ソフトな側面としては、企画・立案・計画・調整等の技術料的な部分と
ハードな側面としては、図面を描き監理する実費的な部分があります。
住宅の 設計料の算出に関しても、料率により決めたり、積上げた金額により決定したり、またそれ以外でも色々ありますが一概にどの方法が良いとは言えません。
以前は設計監理報酬料率表と言うものがあり、建物の種別(例えば工場・事務所・病院・住宅・社寺等)と工事予定金額により、その工事予定金額の何パーセントが設計監理料の標準であると表示されていました。もちろんその金額をもとにして交渉により最終金額が決まっていました。現在は国土交通省の告示基準により、マンパワーを積み上げる方式が示されています。ここでも建物の種別により標準の人・日数が割り出されており、これに依頼度(参考とすべき資料の多い少ない)と負担率(どの位の量の業務を行うか)と業務を行う技術者の力量により決められた人件費(公共の仕事では実勢に合わせて毎年変わりますし、各事業所によっても変ってきます)を掛けて算出される直接人件費と事務所の経費・技術料・パース・模型・出張実費を加え算出されます。料率より細かな要素により算出されますので、依頼主の要望をより多く反映することになりますが、場合によってはかなり高額になることがあります。
早い段階で、依頼主と設計者の間で話し合いにより決定するのがトラブルを防ぐことになります。契約はお互いの権利と責任の範囲や報酬について決めるものです。これを結ぶことは双方にとって利があると思います。その際、業務範囲をリストにし、お互いに確認しましょう。
設計事務所に依頼すべきかどうかも各人で意見の分かれる所だと思います。特に住宅の場合、工事費の10%〜15%位になる設計料は高額に感じられる事が多いと思います。しかし現在は、どのような建物でも設計を行ない、検査機関に図面を提出することになっていますので、工務店やハウスメーカーに依頼する場合でも全体の費用の中にこの費用は含まれています。この費用を分離し、目に見える形にしたものが設計監理料となりますが、この様に確認申請にかかる費用だけではありません。私達設計事務所が行なう業務は、時には土地探しから始まり現地調査・打合せを経て企画・立案・計画を行ない、大筋の合意に基づいた基本設計の作成、基本設計をもとに実際に建設される為の細かい仕様等を決めた実施設計の作成、建設業者からの見積のチェックと金額調整、着工後の監理・変更への対応、仕上の決定・完成時の検査、1年目位での経年変化の検査等々があり、依頼主の代理人として全ての場合で舵取りを行ないます。これらの期間は早い場合で1年弱、永い場合で3年位になる場合もあります。これらのことが設計料の中に含まれて、各事務所の設計監理料が設定されています。詳細は各設計事務所から示される業務範囲のリストにより確認して下さい。
また設計事務所に依頼する利点はその独立した立場にあると言えます。独立した立場の設計者が依頼主と契約によって結ばれ、依頼主の広い意味での利益を守る助けをする、という点が工務店やハウスメーカーに所属する設計者と違うわけです。依頼主と設計者と施工者が各々独立した関係を保つことが計画をいい方向に導くと考えています。
設計事務所に仕事を依頼される前には、敷居が高いとか、費用はいつから発生するとか悩まれることもあるかと思います。まず雑誌や近所で気になる建物を見掛けたら設計者を調べ、電話をかけてみましょう。
経歴や経験の分かる資料をお願いしたり、他に紹介されている雑誌等がないか聞いてみましょう。資料や写真、電話での雰囲気等で判断して会ってみたいと考えられたら、アポをとってみて下さい。初回1時間位であれば費用は発生しないだろうと思います。打合せが2回・3回になるのでしたら設計者からしますとそろそろ契約していただきたいのですが、依頼主がまだ決めかねる場合、設計アドバイス契約(又は覚え書)を結び1回当たりいくらでスポット契約をすることも考えられます。本契約になった時には基本設計に移行し費用が解消するようにしておけば、仮りに本契約に至らない場合でもトラブルになることがありません。
最近は TVや雑誌の影響もあり、多数の設計者に提案をしてもらう方や、インターネット上のコンペティションなどを利用される方もいらっしゃいますし、またそれが設計事務所の営業であり無料であると考えられている方もいらっしゃいます。選択の巾が広がるのは悪いこととは思いませんが、本当にいい提案や仕事を望まれるのであれば、時間をかけていろいろな側面から理解を深めることが、設計する上で大切なことだと思います。住宅に於ける設計事務所の選択のポイントは、信頼出来る人柄(代表者又は担当者)と過去の実績と言うのはあながち古い考え方とは限りません。
■ メンテナンス費用 
建物は経年変化により手を入れる必要が生まれます。
商業施設や事務所等では事前にメンテナンス計画を立て、その資金を積立てたりしますが、住宅ではなかなかそうはいきません。
日本の場合、木造が多い歴史風土的条件、高温多湿である気候風土的条件、昭和30年〜50年位迄の住宅が高度成長期に人手が少なかったと言う社会的条件と住宅がお金を生み出す建物ではないと言う用途的条件により、なかなか修理やメンテナンスに手がとどかず建物の寿命を短かめる結果になっていました。LCC(ライフサイクルコスト)によりますと 建てた後の費用 建てる時の費用の倍以上になると言われています。5年〜10年サイクルの部分的修理や模様替え、25年〜30年サイクルの大改装等こまめなメンテナンスが建物の寿命をのばします。またそのことが中古住宅の価値を上げることになります。その為の費用は設計者・施工業者の意見を聞き積立てるよう心掛けて下さい。
■ かしこいコストのかけ方 

コストとは、辞書によりますと

1
. 値段・費用、
2. 生産原価・生産費

とあります。
コストの中身はと言いますと今迄御説明しましたように、人件費(単純なマンパワーではなくソフトを含んだもの)と材料費に分けられます。
また材料費も元を正せば人件費と素材の集まりなのです。としますと、この人件費をいかに上手に、いかに効率良く使うかがポイントになるのではないでしょうか。

私なりに考えた "かしこいコストのかけ方" とは、
早い時期に長くつき合える相性のいい設計者をみつけること。
変な遠慮をせず相談出来る間柄になることが大切です。もちろん設計者に支払うコストは増えますが、長い目で見ればこれが1番安く安心出来る方法です。
土地選びの段階から設計者と話し合うこと。
環境は建築を決定づける大きな要因です。安い買い物も高くつく可能性があります。
コストをかけるポイントを自分なりに考えておくこと。
基礎・外観・仕上・面積・空間・設備 etc.。もちろん他がゼロになることはないので、あくまで重心の置き方として。
基本設計に時間をかけること。
大事なのは形ではなく、形になる前の漠とした気持ちをひとつずつ整理しまとめる作業だと思います。
建設会社は出来るだけ地元で、現場管理者に会ってから選ぶこと。
これも相性が1番大切です。特に住宅は小さな仕事になりますから、近くて小廻りのきく建設会社が便利です。もちろん信用(業績・台所事情・評判)を調査する必要はあります。
分離発注(それぞれの業種ごとに別々に契約し発注するもの)の方法もあります。
利点は各業者の顔が見え(逆に見えすぎて困る場合もあります)、建設会社の経費分が浮きます。但し、仕事の段取りをする人材が必要になること、各業者間の仕事の範囲と責任を明確にすること、仕事の完了のたびに出来上がりを確認して発注金額を支払うこと、保証の範囲と期間を明確にすることなど様々な条件をクリアすることになります。
標準的な坪単価や坪単価による比較はあまり意味がありません。
建築は各工事の材工費の集まりですが、それらは時価(お寿司屋さんみたいな)であることを知って下さい。つまり、景気が良く人手が足りない時は人件費は上がりますし、材料が不足すれば定価に近い価格で取引されて全体の工事費は高くなります(現在はその逆の状態です)。また会社ごとに得手・不得手があり、価格面でも高い安いとバラバラです。時価を知る為には複数社見積りをとり、詳細な内容を比較することが重要です。
見積書は、細かく自分でチェックし、設計者のチェックと照らし合わせて不明な点を残さないこと。
単価がどうかも大切ですが、どの工事項目に何が含まれているかを知ることや、どの部分に一番コストがかかっているかを知ることが大事です。
設計監理の契約書もそうですが、契約書の書式は決められたものではなく、依頼主の希望により追加変更が可能です。
支払いの方法・時期・工期・工事完成の保証・完成後の保証期間等、設計者の意見を聞き施工業者との話し合いの上で決定しましょう。
工事期間中は出来る限り現場に見に行くこと。
建主の顔が見えることで現場に目的意識が出て来ます。不明な点は設計者又は現場管理人に確認して下さい。但し建主が職人に直接指示を出すことは止めて下さい。指示伝達系統が混乱しますと間違いがおこりやすくなります。
工事期間中の変更はその都度見積書又は口答で金額を確認し、また工期への影響をチェックした上で決定すること。全て記録に残すことが大切です。
完成した建物の責任は三者(建主・設計者・施工業者)に等分にあると考える位になること。
住まいは買うものではなく、自分の考えを実現化する為に人を使い、そのかかった費用を支払うと考えて下さい。そして、その際1番動く必要があるのは自分であるという意識が大切です。
 

コストとは、いくらかかると言うより、そのかけ方が問題だと思います。真のローコスト住宅とは単に安いと言うだけでなく、その余裕の少ない費用の中で適切なコスト配分をしたものであると考えられます。またレジデンスと言われる位のハイコスト住宅もその意味では同様です。ローコストはハイコストに比べ計画・構造・形・素材・設備等の選択の巾が狭いと言うだけで本質的な部分での差はありません。最終的にはコストパフォーマンス(費用対効果)の良い住まい、これが目標ではないでしょうか。ただ建築のコストパフォーマンスとは、車やラジカセなどの工業製品のそれと違い、スペックだけでは測ることの出来ないものです。それぞれの住まいで色々な答えがあります。そこが建築の面白さだと言えます。

 
 
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